蕎麦カフェたなみ
蕎麦カフェたなみです。いつもご利用いただきありがとうございます。
丸鶏を一羽、大鍋でコトコトと煮ておりました。
蕎麦屋の主人が、またしてもラーメンを作っております。もちろん蕎麦をやめたわけではありません。店の看板はどこまでも蕎麦でございます。ただ、丸鶏をじっくり煮ているうちに、鍋の行き先がいつの間にか中華の方角へぐいぐいと曲がってしまいました。
丸鶏を入れた途端、鍋は急にラーメンの顔をし始めます。こちらが「蕎麦屋らしくあれ」と言い聞かせても、鍋は黙って黄金色の鶏油を浮かべ、すっかり中華の身なりになっていくのです。鍋にも鍋の都合があるらしく、料理人の言うことなど聞きやしません。
無意識のサラダ油と、鶏一羽に背負わせたシンプルな具材
スープには塩、みりん、少々の調味料を加え、味を調えてゆきます。こう書けば計画性のある料理人に見えるかもしれませんが、途中で私は、なぜかサラダ油を少し垂らしました。
なぜ入れたのかと問われても、明快な返答は持ち合わせておりません。料理をしていると、ときどき手が頭より先に動いて仕事をしてしまう瞬間があります。今回は、頭が追いつく前に鍋が勝手に完成してしまいました。
しかもそのサラダ油は、誰にも呼ばれていないくせにスープの表面へ堂々と陣取り、薄い油膜を張って熱を外へ逃がしません。入れた本人より、よほどしっかりとした目的意識を持って働いております。
煮出した丸鶏は丁寧に解体し、肉と骨に分けました。ほぐした鶏肉を具として盛り付け、そこへ長ネギを添えます。具材はこの鶏肉とネギの二つだけ。あれこれ賑やかに載せたくなるのをぐっと我慢しました。丸鶏には出汁から具まで一手に引き受けてもらっています。ここへ豚やメンマまで招いてしまっては、鶏に少し申し訳が立ちません。本日は鶏一羽に、店の中華部門を丸ごと背負ってもらうことにいたしました。
細麺から平打ちへ!営業の混雑が持ち込んだ実践的な麺くらべ
麺は、スタッフへ賄いを出す途中で寸法を変えてみました。
前半のスタッフには、幅二ミリ、厚さ〇・二ミリほどのごく薄い細麺を仕立てました。日中は客足も穏やかで、麺の茹で加減やスープとの馴染み具合をじっくり観察する余裕がありました。
ところが夕方から店内がにわかに混み始めます。後半には二・三ミリの切り刃を使った厚みのある平打ち麺を用意したのですが、前半のように悠長に様子を眺めている暇はありません。次々と入る注文の声に背中を押されながら麺を茹で、湯切りも盛り付けも急ぎ足となりました。
前半の麺が「今日は研究ですね」と静かに鍋へ沈んでいったのに対し、後半の麺は「もう出番ですか」と慌てて飛び込んでくる風情です。同じ日の賄いでも、前半は穏やかな試作、後半は戦場のような営業の合間に滑り込ませた実戦。厨房の慌ただしさという想定外の外乱が、実験計画書も読まずに飛び込んできた格好です。
パッツンと切れる歯切れのよさと、最後まで冷めないスープの責任感
スタッフの一杯には輪切りネギを散らし、自分用の一杯だけは白髪ネギをあしらって、いざ実食です。
箸を入れてすすってみると、平打ちの麺はプリッとした弾力があり、噛めばパッツンと小気味よく切れます。厨房がどれほど取り乱していても、麺は麺として見事に茹で上がっておりました。人間が先に慌てているだけで、麺のほうがよほど職人気質です。
そして驚いたことに、スープがなかなか冷めません。理由もなく垂らしたあのサラダ油が表面をぴたりと覆い、最後の一滴まで熱々の温度を保ち続けてくれたのです。適当に採用された調味料が、鍋の中で誰よりも真面目に職責を果たしており、料理人としては少しばかり立場がありません。
途中で粗挽き胡椒をひと振りすると、丸鶏の柔らかな旨みに輪郭が生まれ、味がきゅっと引き締まりました。大仕掛けをせずとも、胡椒ひとつで丼の中に新しい景色が広がります。調味料たちはそれぞれの役目をよく心得ているのに、分かっていないのは料理人だけなのかもしれません。
蕎麦屋の試作だというのに、ラーメンばかり腕を上げてどうするのかという根本的な疑問は残ります。麺の厚みをノギスで測り、切り刃を選び、油の膜に感心している姿は、まるで転職準備のようですが、こうした厨房の試行錯誤が巡り巡って日々の蕎麦打ちを豊かにしてくれると信じております。
| 名称 | 蕎麦カフェたなみ |
|---|---|
| フリガナ | ソバカフェタナミ |
| 住所 | 343-0032 越谷市袋山1216-19 |
| アクセス | 東武伊勢崎線大袋駅東口より徒歩2分 |
| 電話番号 | 048-971-3617 |
| 営業時間 |
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| 禁煙・喫煙 | 受動喫煙対策による禁煙・喫煙についての最新情報は、店舗にお問い合わせください。 |
| 電子マネー・その他 | PayPay |
| 駐車場 | あり お店の近くに2台 |
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